日本の最も暑い時期（猛暑期）において、日本が世界に誇る高品質な花材を産地から流通、実需まで品質を維持したまま確実に届けるための暑熱対策・貯蔵技術を確立することにより、国内・海外新市場の獲得を目指します。

オリンピック大会想定期間 令和2年7月24日～8月9日

パラリンピック大会想定期間 令和2年8月25日～9月7日

令和2年度の品質テストについては、TOKYO2020オリンピック・パラリンピックが延期となった事から、生産から流通、ブーケ制作(小売店)、ダミー競技場(実需者)への配送、実需者が受け取ってからの経過観察と、暑熱下の国内花き流通実証として実施。
本来TOKYO2020オリンピック・パラリンピックが開催される期間とほぼ同時期となる日本で高温となる期間で高品質を維持すべく実施した。

暑熱下で高温となる環境下、それぞれ高温の影響を受けるポイントで対策実証を行った。また国内の物流については、湿式・乾式それぞれの花材特性に合わせた形態とし、専用車両による共同運行をイメージし、消費地の集積地を経由して加工場（小売店）での商品化の後、常温車両で対応できる保冷ボックス及び畜冷材の開発により本ファイの需要者に届けた以降の商品の状態を実証検証とした。
※令和2年度：コロナ禍で海外への輸送検証は実施中止となった。

本実証試験において、低温貯蔵の有効性やストックポイント設置の有効性を見出す事が出来た。

しかしながら、本年の盛夏期は比較的冷涼で降雨曇天の日が長く続き、その後猛暑となった為に試験期間中の外気温や湿度と品質劣化の関連性に結び付ける知見集約には不足感が残り、生産技術や採花期での対応の栽培技術の計画策定にまで導く事が出来なかった。

また、本年のcovid-19ウィルスの世界的流行の影響をうけ、実証予定であった海外への輸送試験を行う事が出来なかったため、長時間の定温輸送データの収集と、海外新市場獲得の可能性を見出す事も出来なかったため、引続き同様の実証試験を重ね、知見の集約を行う必要がある。

ブーケの輸送については、2つの輸送箱を使用しての実証を行ったが、ネオジッパーよりもネオシールドタイプの方が低温に保つ力が強く、花材の持ちからしても低温で輸送する方が長持ちしている。常温トラックでの輸送であればなおさらネオシールドタイプの活用が進められる。

また保水ゼリーについては、メーカーが推奨する高温期専用エコゼリーを使用し検証したが、保水についての課題は見られなかった。

ブーケを作成するにあたり、生産地から市場、そして制作現場さらには販売現場までを一行程と捉えコールドチェーンを確立させる事で、製作後の商品の劣化を最小限に抑え鑑賞期間を長くすることが出来ることの可能性は見出せており、生産地、市場、加工現場、販売現場そしてそれらにかかわる輸送全てにおいて、温度管理の必要性を今後業界に広めてゆくことで、花き業界の活性化に繋がるものと感じられる。

Covid-19の世界的な蔓延の状況下で、花き業界内では改めて国産花きの重要性が唱えられ始めている現状で、国内生産地の新たなスタートと活性化への一助となるべく、今後も努めてまいりたい。